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カートは空です

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CA面接

面接官は、あなたが話し始める前にもう見ている

ドアをノックして、開けて、「失礼します」と言って、席に向かう。

ここまでで、まだ一言も自己紹介はしていません。志望動機も話していません。それなのに、面接官の中ではもう、あなたへの印象がうっすらと形づくられはじめています。

これを聞くと、ちょっと身構えてしまうかもしれませんね。でも、怖がらないでください。むしろ逆です。話す中身にまだ自信が持てなくても、入ってから座るまでのほんの数十秒を整えるだけで、印象は大きく変えられる。そういうことなんです。

面接官は一日にたくさんの人を見ます。正直に言えば、全員の志望動機を細かく覚えてはいられません。だからこそ、最初に受け取った「なんとなくの感じ」が、その後ずっと尾を引きます。最初に「あ、感じのいい人だな」と思ってもらえると、そのあとの受け答えも好意的に聞いてもらえる。最初につまずくと、挽回に余計な力がいる。フェアじゃないように思えるかもしれませんが、お客様の前に立つ仕事って、本当にそういうものなんです。

では、その数十秒で何を見られているのか。

派手なことではありません。ドアを静かに閉められるか。慌てず、でも遅すぎず歩けるか。立ち止まったときに手や足が落ち着いているか。「失礼します」の声が、ちゃんとその人に届く明るさで出ているか。すすめられてから座るまでの動きに、ぎこちなさはあっても、丁寧さがあるか。

どれも採点表には載りません。でも、これが自然にできている人を見ると、面接官は言葉にしないまま「この人は、人の前に出る仕事の意味が分かっているな」と感じます。CAって、しゃべる前に、立っているだけで安心感を与えられるかどうかの仕事ですから。

ひとつ、誤解を解いておきたいことがあります。面接官は「緊張していない人」を探しているわけではありません。緊張するのは当たり前。むしろ、緊張しながらも相手への気づかいを忘れていない人を見ています。ノックの角度が完璧かどうかより、ドアを静かに閉めようとしたその意識のほうが、ずっと伝わるんです。

じゃあどうすればいいか。今日からできることを、ひとつだけ。

自分が入室して座るまでを、スマホで撮ってみてください。これ、ほとんどの人が見た瞬間に「えっ」となります。目線が下がっている、歩くのが速い、手が所在なげに動いている……自分では全然気づいていなかった癖が、必ず映っています。

そして撮り直すとき、「面接を受けに来た」と思わずに、「お客様をお迎えする」と思ってやってみてください。意識がそこに向くだけで、不思議と所作はやわらかくなります。

ただ、ここが難しいところで。自分の所作が相手にどう見えているかって、自分ではどうしても分からないんです。「丁寧にしているつもり」と「丁寧に見えている」の間には、思っているより距離があります。その距離を埋めるには、誰かに見てもらうしかありません。

入室から着席までの所作は、直前期からでもぐっと伸ばせる部分です。

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